コラム
婚姻費用と養育費の金額については、2003年(平成15年)に、標準算定方式・算定表と呼ばれる基準が提案され、調停や裁判などの実務においては基本的にこの表をもとに婚姻費用と養育費の金額が決められてきました。
しかし、この算定表の提案から既に15年以上が経過し、社会情勢や経済情勢が少なからず変化してきました。
そのような社会の実態を正しく反映する趣旨のもと、2019年(令和元年)12月23日、新たに、「改定標準算定方式・算定表」が公表されました。
今後は、調停や裁判などにおいて、この新しい算定表をもとに婚姻費用や養育費の金額が算定されることになると考えられます。
新しい算定表は、基本的な考え方は従前の算定表を踏襲しつつ、基礎となる統計資料を更新するなどしています。
具体的な金額の変化については、事案によって増額する場合と減額する場合とがありますが、増額するケースのほうが多いように見受けられます。
ご自身の場合に金額がどのようになるかは、以下の裁判所のホームページで確認できます。
http://www.courts.go.jp/about/siryo/H30shihou_houkoku/index.html
新しい算定表が公表される以前に、既に婚姻費用や養育費の金額が決まっていた場合に、新しい算定表によるとその金額に増減額があると、今後の婚姻費用や養育費の金額が変更されるのでしょうか。
これについては、新しい算定表の発表によって金額を変更すべき事情にはあたらないとされています。
従って、他の事情変更がなければ、今後も、既に取り決めた額が維持されることになります。
養育費は、原則として、子が成人する20歳まで法的な支払義務があります。
成人年齢については、2022年(令和4年)4月1日に施行される改正民法により、18歳に引き下げられます。
ただ、養育費の支払終期については、成人年齢引き下げ後も基本的に20歳と解するのが相当とされています。