コラム
話合いで離婚を合意できない場合、法的な手続として、離婚調停と離婚訴訟があります。
この2つの手続きは、どのように異なるのでしょうか。
調停と訴訟の最も大きな違いは、当事者の一方が離婚に合意できなかった場合の効力の違いです。
調停はあくまで協議の場ですので、当事者の一方が離婚に合意しない場合には、調停は不成立として手続きが終了してしまいます。
これに対し、訴訟は、当事者が離婚したくないと思っていたとしても、離婚の判決が出された場合には、法的に離婚の効力が発生することになります。
そのため、相手の納得の有無に関わらず、判決を得ることで離婚問題の終局的な決着を付けることが出来ます。
調停は、家庭裁判所内に設けられた調停室で行われますが、この調停室には当事者と代理人弁護士しか入室できず非公開とされていますので、第三者に内容が知られることはありません。
これに対して、訴訟は家庭裁判所の法廷で行われるのが原則ですので、第三者の傍聴も認められています。
また、訴訟のなかで提出された書面は、第三者も閲覧することが可能です。
前記の通り、調停はあくまで協議の場ですから、当事者双方が納得して合意をすることが出来れば、離婚の理由が何であるかは必ずしも問われません。
他方で、訴訟は、当事者の納得の有無に関わらず裁判所が法律に基づき離婚を命じる手続きですから、法律で決められた離婚理由が存在していることが必要です。
これを法定離婚事由と言い、以下の通り民法770条で定められています。
◆配偶者に不貞な行為があったとき。
◆配偶者から悪意で遺棄されたとき。
◆配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
◆配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
◆その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
上記のいずれかの事実が存在することを立証して初めて、離婚の判決が出されることになります。
以上の通り、調停と訴訟は手続きも効力も異なるものですが、そのいずれの手続きを取るか、当事者が自由に選ぶわけではありません。
離婚については、あらかじめ調停で話合いを行い、調停での話合いが功を奏さず不成立となったときに初めて訴訟の提起が認められます。
これを調停前置主義と言います。
ただ、現実には、調停が成立する可能性が極めて低いことが予め分かっている事案もあり、そのような場合には、調停段階から、訴訟を見据えた対応を考慮しておく必要があります。
調停で不用意な発言をしたことが訴訟で足かせになってしまう場合も少なくありません。
調停だからと言って安易な対応はしないことが大切です。
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