コラム
夫婦が離婚する場合、必ずどちらか一方を親権者として定める必要がありますが、その後に、様々な事情から親権者を変更する必要が生じた場合には、家庭裁判所の調停又は審判で親権者を変更することが可能です。
手続きとしては、子の親族から管轄の裁判所に、家事審判・調停の申立てを行います。
当事者は、調停と審判のいずれかの手続きを選択できますが、審判で申し立てても裁判官の決定により調停に付される場合もあります。
民法819条6項は、「子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。」と規定しています。
つまり、親権者変更が認められる場合は、条文上、「子の利益のため必要があると認めるとき」ということになります。
では、どのような場合に子の利益のために必要があると認められるのでしょうか。
具体的には、以下のような事情を考慮して総合的に判断されます。
①監護体制の優劣
②父母の監護意思
③監護の継続性
④子の意思
⑤子の年齢
⑥申立ての動機・目的 など
これらを検討するにあたっては、①母親・母性優先の原則、②継続性(現状尊重)の原則、③子の意思尊重の原則、④きょうだい不分離の原則が考慮されます。
また、親権者変更が必要とされる場合として、親権者指定後の事情の変更があった場合が挙げられます。
なお、親権者の変更の調停・審判の手続きにおいては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査などの方法により子の意思を把握するように努め、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならないとされています。
15歳以上の子については、その陳述を聴く必要があるとされています。