コラム
夫婦の性生活の問題は他人に相談しにくいものです。
しかし、性生活は円満な夫婦関係を維持するうえで大切なものです。
もしあなたが一方的にセックスを拒否されてセックスレスの状態で悩んでいるとしたら、その悩みは決しておかしな悩みではありません。
セックスレスが理由で離婚を望む方は決して珍しくありませんし、法的にもセックスレスが離婚原因となることもあります。
まず、セックスレスと言っても様々な理由があり、例えば相手の病気や高齢など正当な理由がある場合には、離婚原因とはなりません。
また、性交渉がない状態であっても、そのことに双方が納得していたのであれば離婚原因とはなりません。
セックスレスを理由に離婚するには、一方が性交渉を望んでいたのに不当に拒否されていたことが必要です。
従って、性交渉がないことをただ黙って耐えていたというだけでなく、性交渉を望んでいることを相手に伝えたのに拒否されたり、話合いにも応じてもらえなかったなどの状況も重要です。
期間の目安としては、少なくとも1年以上セックスレスの状態が続いていることが必要でしょう。
実際に訴訟になった場合に離婚が認められるかどうかは、セックスレスに至った事情や期間、その間の状況など様々な事実関係を前提に裁判所が判断することになりますが、長期間のセックスレスの状態が続き、夫婦関の愛情や信頼関係が損なわれ、婚姻関係が継続しがたいほど破綻をきたしたと言える場合には、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、離婚が認められます。
セックスレスを理由に離婚を求め、訴訟になった場合には、不当なセックスレスであったことを証拠によって立証しなければなりません。
証拠としては、セックスを求めたのに拒否されたことを日記に付けておいたり、メールのやり取りなどが考えられます。
不当に性交渉を拒否され続けることは、時に大きな心の傷になります。
そのような精神的苦痛に対し慰謝料を請求することも可能です。
金額は、セックスレスの期間やその間の夫婦間のやり取りなど事情によって異なりますが、おおよそ100万円程度が相場です。
セックスレスの問題を他人に話すのは誰にとっても抵抗があるものです。
ただ、セックスレスの問題は、上記の通り法的にも離婚原因となることがある重大な問題です。
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