コラム
ある日突然配偶者が家を出て行ってしまい、電話やメールも繋がらず、どこに行ってしまったのか分からない、そのような状態が長く続いているため離婚したいという場合、どのように離婚の手続きを進めたらいいのかという相談は実は少なくありません。
相手の実家も事情を把握しておらず、会社も勝手に退職してしまっていたような場合、それ以上探す手立てもなく、離婚をしようにも相手がいないのですから当然のことながら話合いも出来ず、弁護士にご相談にいらっしゃるケースです。
離婚については、訴訟を提起する前に調停を経なければならないのが原則です。
しかし、相手が行方不明の場合には、調停を行っても意味がありませんので、調停を経ずに訴訟提起が認められることになります。
そして、その場合、公示送達という方法で、被告に対し、訴訟が提起されたことを知らせます。
公示送達とは、裁判所の掲示板に、「訴状などを保管しており、いつでも交付する」旨を掲示し、この掲示から一定期間経過した時点で、訴状等が被告に届いたことにするものです。
このように、相手が行方不明の場合でも、訴訟によって離婚手続きを進めることが出来ます。
ただ、相手にとっては、実質的には自分の知らない間に手続きを進められてしまうリスクのある方法ですから、裁判所も、簡単に公示送達の方法を認めてくれるわけではありません。
相手が行方不明であることについて、単に原告(裁判を起こす側)がそう申告しているだけでは足りず、一定の調査を行ってもどうしても行方が分からなかったということを客観的な資料で示すことが必要です。
これについては、弁護士にご相談いただければ、状況に応じて必要な調査を行ったうえで、裁判所に提出する資料を揃えることが可能です。