離婚の基礎知識
養育費とは、子どもが独立の社会人として成長自立するまでに要する全ての費用、つまり衣食住の費用、教育費、医療費、適度の娯楽費などを言います。
ここに言う「子ども」とは、必ずしも「未成年者」と同じではありません。一般的には20歳までとして取り決められることが多いですが、親の資力や学歴、その他家庭環境等を考慮して、高校卒業までとされたり、大学卒業までとされたりすることもあります。
また、養育費の支払義務は、あくまで親としての子に対する義務であり、親権者でなくても親である以上、支払義務を負います。
養育費の金額については、夫婦の収入や生活状況を考慮して決められます。調停や裁判の実務では、平成15年に公表された「養育費算定表」という表をもとに算定されることが一般的です。
養育費の金額や支払い方法については、まずは夫婦の間の話合いで決められます。話合いがまとまらない場合は、調停、審判、訴訟などの法的手続きを通じて養育費が決定されることになります。
養育費は、通常、一括払いではなく、1か月ごとに支払われる取り決めとされることが多いです。そのため、長期間に亘る支払いとなり、その間の支払いを確保することが非常に重要です。
単なる口約束や誓約書のようなものを作っただけだと、その約束通りに支払いがなされなかった場合に強制力がありません。
これに対し、支払約束について公正証書を作成している場合や、調停や審判、裁判などの法的手続きを経ている場合には、強制執行を申し立て、相手方の給与や資産を差し押さえて養育費を取り立てることが出来ます。
当事者いずれかにおいて、養育費取り決め時の事情が変化した場合には、養育費の増減額請求が出来ます。
養育費の増減額請求で考慮される事情としては、主に以下のものがあります。
ただ、一度取り決めた養育費の増減は、当事者の新たな生活設計がこの取り決めに基づいてなされることから、一定の期間の経過と相当程度の事情の変化が必要とされます。
養育費については、離婚にあたって、相手方と話合いをしたくない、とにかく早く縁を切りたいなどの理由で取り決めをしないまま、親権者が一人苦労をして子どもを育てているケースが多くあります。
しかし、養育費は、子ども自身のためのものです。子どもの健全な成長のためにも、きちんと取り決めをすべきでしょう。話合いが困難な場合には、弁護士が交渉窓口となることが可能です。どうぞご相談ください。
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