コラム
婚約とは、将来婚姻するという約束であり、結納などの儀式がなくても、意思能力ある当事者が、将来婚姻をなすべき確実な合意をした場合には、法的に有効に成立します。
法的には婚姻の予約とも言われ、将来において適法な婚姻をすることを目的とする契約とされており、判例もこれを有効としています。
婚約の効果として、婚約の履行請求が考えられますが、これが法的な請求権として認められるかという点については、憲法24条が「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」と規定していることや、現実的に婚姻する意思もない当事者を強制的に婚姻させることは無意味であることから、法的な請求は出来ません。
ただし、約束通り婚姻しようとしない相手に対し、調停を申し立てて婚姻するよう求める(任意の履行を求める)ことは可能です。
婚約が法的に契約として有効である以上、一方当事者が理由なくこれを破棄することは認められません。
不当に破棄された場合には、婚約という契約の債務不履行として、損害賠償請求が出来ることになります。
損害賠償として請求できるものとしては、精神的な苦痛に対する慰謝料、結婚式費用や新居の家具購入費用、結婚のために退職したことで得られなくなった収入などの財産的損害も含まれます。
婚約破棄をした相手に対し、損害賠償請求をする場合、弁護士を依頼して請求したり、調停を申し立てる方法により任意の支払いを求めるか、任意の支払いが見込めない場合には、訴訟を提起することになります。
なお、慰謝料の相場については、一律のものはなく、婚約期間や婚姻破棄に至った経緯などを総合考慮して判断されることになりますが、一般的には100万円から300万円程度とされることが多いでしょう。
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